自動車メーカーで働く非正規従業員(派遣社員と期間従業員)の削減幅が、金融危機が始まった9月以降で1万人を超える見通しになった。世界経済の減速やガソリン高などの影響でメーカー各社は大幅な減産を迫られており、生産現場に人員の余剰感が広がっている。自動車は部品メーカーをはじめ産業の「すそ野」が広いだけに、リストラによる失業率の悪化で国内消費の減退につながる悪循環が懸念される。

 「こんな極端な変動は、(世界恐慌のあった)1929年以降、数十年間は見られなかった」

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、米国をはじめとする自動車市場の大失速に肩を落とす。日産は欧米向け車種の落ち込みが激しく、輸出の急減がそのまま国内の生産現場に打撃を与える。同社は12月から九州工場(福岡県苅田町)と栃木工場(栃木県上三川町)で減産を強化。その影響で、全国の工場に約2000人いる派遣社員を約500人体制にする。

 最大手のトヨタ自動車も現在約6000人いる国内工場の期間従業員を来年3月までに3000人程度に半減する考えだ。すでに新規採用は抑制しており、契約更新も見送ることで人員を調整する。トヨタは今年3月末まで約8800人(平均)の期間従業員を雇用しており、1年間で雇用人数が3分の1に縮小する計算になる。

 三菱自動車も減産を打ち出している名古屋製作所(愛知県岡崎市)など国内4工場で期間従業員が3500人おり、一部削減に乗り出した。マツダやスズキもそれぞれ派遣社員を1300人と600人減らす。ホンダは減産に入る埼玉製作所(埼玉県狭山市)で期間従業員270人を削減する。部品メーカーでも最大手のデンソーが1000人規模の削減を行う見通しだ。

 事情はトラック業界も同じ。いすゞ自動車は藤沢工場(神奈川県藤沢市)と栃木工場(栃木県大平町)で働く非正規従業員約1400人全員の契約を12月末で打ち切る。日野自動車も期間従業員の新規採用を抑制するとともに、国内3工場の期間従業員約2200人の一部は契約更新を見送る公算が大きい。

 日産ディーゼル工業も上尾工場(埼玉県上尾市)などで働く派遣従業員の雇用契約を見直して12月末までに約200人を削減する。三菱ふそうトラック・バスは週明けにも大・中小型トラックを生産する川崎製作所(川崎市中原区)の減産を決定し、非正規従業員を削減する方向だ。



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