経営不振に陥っている米自動車大手3社(ビッグ3)は2日、米議会から求められていた経営再建策を提出した。最大手のゼネラル・モーターズ(GM)は、最大180億ドル(約1兆6700億円)の低利融資などを要請。クライスラーも「70億ドルが必要」と資金繰り悪化を訴えた。フォード・モーターも最大90億ドルの融資を求めており、公的支援の要請額は3社合計で340億ドル(約3兆1600億円)に達した。

 ビッグ3は当初、250億ドルの支援を求めていたが、経営環境の悪化に伴い増額を要請した。クライスラーが年末までの支援実施を求めたほか、GMは40億ドルを年内に利用する方針を示した。仮に政府支援が得られなければ、年内にもビッグ3のうち2社が経営破綻(はたん)に追い込まれる恐れも出てきた。

 またこれとは別に、低燃費車開発用資金として、フォードが50億ドル、クライスラーが60億ドルの支援をそれぞれ求めた。

 ビッグ3が再建策を提出したことを受けて、ペロシ米下院議長(民主)は「経営破綻は選択肢ではない」と述べ、何らかの形で救済が必要になるとの認識を示した。米議会は4、5の2日間、ビッグ3首脳らが出席する公聴会を開く予定で、経営再建策の妥当性などを見極めたうえで救済策の審議に入る。ただ、共和党に加えて民主党内でもビッグ3救済に慎重な見方があり、融資が実現するかは微妙な情勢だ。

 GMの提出した経営再建策によると、「サターン」やスウェーデン子会社の「サーブ」の売却を含め、傘下の自動車ブランドを大幅に削減、四つに絞り込むことで競争力を高める。また、経営陣の報酬を大幅減額し、リック・ワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)の年俸を1ドルに引き下げる。人件費削減に向けて最大3万1000人の追加人員削減に踏み切るほか、全米自動車労組(UAW)と協議した上で12年までに賃金や福利厚生をトヨタ自動車並みに引き下げる。GMは政府融資について、早ければ11年に返済を始め、12年にも返済を終えたい考えを示した。

 一方、フォード・モーターは欧州ブランド「ボルボ」の売却などで11年には事業全体の黒字化を目指す方針を示している。クライスラー、フォードともCEOの年俸を1ドルに引き下げる。

 また、クライスラーも従業員の待遇見直しなどのコスト削減策や、他社との戦略的提携の推進を盛り込んだ。


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