米自動車大手GM(ゼネラル・モーターズ)とクライスラーは、2009年3月末までに経営の健全さを取り戻すことを条件として、 174億ドルの短期融資を受けた。しかし今後、財政改善が図れず、融資が引き上げられれば倒産となる。自動車需要が短期間で回復する可能性は低いとみられる。
11月の米自動車需要は対前年比36.7%減の 897万台。金融危機の影響で中ロなど新興国の需要も期待できない。さらに両社の自動車は日本車などと比べ、燃費や重量の面で劣るため消費者を魅了することは困難だ。
GMは昨年6月、危機的状況を脱するため、傘下のジャガーなどをインド自動車大手タタ・モーターズに売却、資金を調達したが、クライスラーのスポーツカーブランドのヴァイパー売却は難航。両社は土地や工場、株式を同業他社に売却することも視野に入れているが、需要の低迷に伴い生産が業界全体で縮小したため転売も難しい状況だ。
米自動車3社の福利厚生や人件費は日系の他社と比較し高く業績を考慮すると、コスト削減が現在の状況を脱する唯一の方策だ。しかし、全米自動車労組(UWA)は削減に抵抗、オバマ新政権の金銭的な援助で給料や福利を賄うことを期待している。
GMとクライスラーは自動車供給過剰と需要減少の中、過当競争、高コスト体質にも対処しなくてはならない。米政府の救済にもかかわらず、危機的状況は一向に変わりはない。オバマ次期米大統領は自動車業界の破綻(はたん)を防ぐため援助を続ける見込みだが、米自動車大手をこのまま破産させるか、それとも業界再編を行うか政治的決断が求められる。
ラベル: 2009年自動車ニュース
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