イタリアのパガーニ社はスーパーカー「ゾンダ」シリーズの最強モデル『ゾンダR』を発表した。AMG製の6.0リットルV12(750ps)をミッドに収めたサーキット仕様である。

パガーニ社はアルゼンチン生まれのオラシオ・パガーニが設立。1999年に『ゾンダC12』と呼ばれるスーパーカーを発売した。パガーニ社はその後、『ロードスター』、『ゾンダF』と、絶えず進化の手を加えてきた。そして、ゾンダの名前を一気に有名にしたのが、2007年9月のドイツ・ニュルブルクリンクでのタイムアタックである。

ゾンダFはニュルで7分27秒82秒というラップタイムをマーク。ポルシェ『カレラGT』が2004年7月に記録した7分28秒を上回る当時の市販車最速ラップをマークした。ゾンダFは日産『GT-R』の7分29秒3よりも1秒以上速い計算だ。

ゾンダRはこのゾンダFの性能をさらに進化させた究極のゾンダ。しかもゾンダFとの共用パーツは10%しかなく、ほとんどが新開発という力の入れようだ。

エンジンはAMG製の「M120型」6.0リットルV12。最大出力750ps、最大トルク72.4kgmを発生する。このエンジンはメルセデスベンツ『CLK-GTR』用に開発されたユニットがベースである。

CLK-GTR は1997年にFIA・GT選手権GT1クラスに参戦するために開発されたホモロゲーションモデル。CLK-GTR はデビューするやいなや快進撃を続け、その年のドライバー&コンストラクターの両タイトルを手中に収めた。日本ではあの小室哲哉被告が所有していたことでも有名な、公道を走るレーシングカーである。

ゾンダRではこの高性能ユニットをミッドシップに搭載、後輪を駆動する。トランスミッションは6速シーケンシャル。ボディやシャシーにはカーボン、アルミ、チタンを使用して、車重はV12を積むスポーツカーとしては異例の1250kgに仕上げられた。

また、ゾンダFに対して、ホイールベースを47mm延長。リアのトレッドも50mm拡大された。パガーニ社は「サーキットでのスタビリティを重視した変更」と説明している。

エアロダイナミクスも磨き込まれ、とくに超高速域以外でも十分なダウンフォース獲得を狙った。リアの大型ウイングは可変式で、ディフューザーを追加。フロントには大型のリップスポイラーが装着され、全長は394mm伸びている。

パガーニ社はゾンダRの価格を公表していないが、80万ユーロ(約9200万円)程度と予想されている。すでにゾンダを所有している顧客がターゲットだ。


 

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