米国カーボンモーターズは12日、パトカー専用車の『E7』の受注台数が、1万台を超えたと発表した。2012年の発売を前に、早くも米国警察関係者から熱い視線を浴びている。
ジョージア州アトランタに本社を置くカーボンモーターズは、2009年4月に『E7』を初公開。同社は元警察官のステイシー・スティーブンズ氏が立ち上げた会社だ。E7は全米の警察官3000人の意見を参考に、設計段階からパトカーとしての使用だけを想定して開発されており、市販車をベースにパトカーに改造する米国ビッグ3のビジネス手法を根底から覆した。
バンパーやルーフには、LEDフラッシュライトを内蔵。ナイトビジョン、ビデオカメラ、ボイスコントロール、ナンバープレート自動認識システム、無線装置などを標準装備した。スペースフレーム構造が実現するボディ剛性の高さも自慢のポイントで、120km/hでの追突や40万kmの走行に耐える性能を備えているという。
圧巻はインパネのコンピュータだろう。15インチの大型液晶モニターとキーボードを備え、大量破壊兵器の発見も可能にする。さらに、リアドアは手錠を付けた容疑者が乗降しやすいように逆ヒンジとなっており、前後シート間の仕切りやリアシートの拘束ベルトといった容疑者護送用の装備が、あらかじめ取り付けられている。
エンジンは優れた追跡能力と高い環境性能を両立するパワフル&エコなユニットだ。3.0リットルターボディーゼルは、最大出力300ps、最大トルク58kgmの圧倒的スペック。6 速ATとの組み合わせで、0 - 96km/h加速6.5秒、最高速250km/hのパフォーマンスを達成する。それでいて、燃費は12.75km/リットルと優秀だ。
カーボンモーターズは、E7の生産工場建設地として、ジョージア、インディアナ、ミシガン、ノースカロライナ、サウスカリフォルニアの5州から誘致を受けていることも明らかにした。最終的な工場建設地は、今夏決定予定。同社のウィリアム・サンタナCEOは、「5州からの誘致は大変光栄」とコメントしている。
E7は2012年初頭から、警察へのデリバリーを開始する計画。GMのシボレー『インパラ』、フォードの『クラウンビクトリア』、クライスラーのダッジ『チャージャー』などと競合する。
価格は公表されていないが、5万ドル(約493万円)程度と予測されており、財政事情の厳しい警察にとっては、安い買い物ではない。しかし、耐久性や改造費を考慮すれば、割安との皮算用があると推測できる。それが、発売2年以上前にしての、受注台数1万台突破につながった。突如現れたライバルに、米国ビッグ 3も戦々恐々といった心境だろう。
ラベル: 2009年自動車ニュース