ダイムラーは9日、『Eガード』の概要を明らかにした。新型メルセデスベンツ『Eクラス』に高度なセキュリティシステムを組み込んだ特別仕様車で、44マグナムや手榴弾の攻撃にも耐える頑強なボディを誇る。

ダイムラーは約80年間に渡って、防弾対策などを施したリムジンを製作し、各国元首やVIPに納車してきた実績がある。今回のEガードは新型Eクラスの開発と同時に進められ、1月の新型初公開から1か月という異例の早さで発表された。

E ガードの見た目は、通常のEクラスと変わらない。しかし、その中身にはかなり手が加えられている。ボディパネルには市販車よりも厚さと強度を増した高張力スチールを使用。また、すべてのウインドウには、特殊ポリカーボネート加工を施した防弾ガラスを採用している。アンダーフロアの強化も図られた。

この結果、Eガードは拳銃用の銃弾としては最も破壊力の高い「44マグナム」や手榴弾「DM51」の攻撃にも耐えるボディ剛性を実現。ダイムラーは「ドイツの防弾性能規格は、従来のB4からVR4に1クラスアップした」とEガードの高いプロテクト性能に胸を張る。

ボディの重量増加に対応して、サスペンションやブレーキを強化。サスペンションは「エアマチック」のレベルIIが奢られる。タイヤは17インチのランフラットで、パンクした状態でも、80km/hで最長50km走行できる。最高速は240km/h。もちろん、通常のEクラスと同じく、耐熱&耐寒、ブレーキ、衝突などの各種テストをクリアしている。

このほか、車内に閉じ込められた場合でもドアを開けずに外部と連絡が取れるインターコム、ヘッドランプの点滅とクラクションで非常事態を伝える緊急アラームなどの特別装備が導入される。

Eガードは3.5リットルV6(292ps)の「E350」、5.5リットルV8(387ps)の「E500」、3.0リットルV6ターボディーゼル(231ps)の「E350CDI」の3グレードを設定。「エレガンス」、「アバンギャルド」の両トリムも用意される。

欧州では4月からオーダー受付を開始。価格はベースグレードに対して4万5000ユーロ(約530万円)高となる。BMWも同様のセキュリティ仕様を『5シリーズ』や『X5』に設定しており、確実な需要が存在するのも事実。こんなセキュリティ仕様車が、街中にあふれるような時代にはなってほしくない気もするが……。


 

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