ダイムラーは12日、メルセデスベンツ『SLS AMG』の概要を明らかにした。1950年代の伝説の名車、『300SL』を現代の技術で甦らせた、メルセデスブランドの新しいフラッグシップスポーツである。
SLS AMGのモチーフは、1954年に発表された300SL。300SLは当時のレーシングカーと同じ鋼管スペースフレーム構造を採用。サイドドア部分を通るフレームを避けるため、ガルウイングドアを導入したという逸話を持つ。世界初のガソリン直噴エンジン搭載車としても知られ、3.0リットル直6 (215ps)は260km/hの最高速を誇った。
SLS AMGは、間もなく生産を終了する『SLRマクラーレン』の後継車種に位置づけられる。AMGがデザインからメカニズムまで、トータルで手がけた最初のモデルとなるのが特徴。それだけに、SLSにはAMGの最新技術が惜しみなく注ぎ込まれている。
エンジンは『63AMG』シリーズでおなじみの6208ccV8だが、マグネシウムインテーク、電子制御ストットル、ドライサンプ方式などを採用。最大出力は571ps/6800rpm、最大トルクは66.3kgm/4750rpmに引き上げられた。欧州複合モード燃費7.7km/リットル、ユーロ5や LEV2、ULEVを満たす排出ガスなど、高い環境性能も併せ持つ。
エンジンは低重心化のため、フロントアクスル後方の低い位置、フロントミッドシップにレイアウト。トランスミッションはリアアクスルに配置するトランスアクスル方式とした。このトランスミッションは、AMGが新開発したデュアルクラッチ7速2ペダルMT。4つのモードを備え、「レーススタート」モードではローンチコントロールを可能にする。
また、オールアルミスペースフレーム構造を採用。ボディにもアルミがふんだんに使用され、トータル重量は約1620kgに抑えられた。これは、SLRマクラーレンよりも約200kgも軽い。その結果、パワーウェイトレシオは2.84kg/psを達成している。
前後重量配分は48対52と理想的。571psのパワーはカーボンファイバー製ドライブシャフト&トルクチューブを通じて、後輪へ伝達され、0-100km/h加速3.8秒、最高速315km/hという圧倒的性能を発揮する。
サスペンションはダブルウィッシュボーンで、タイヤサイズはフロント265/35ZR19、リア295/30ZR20。ブレーキは前6ピストン、後ろ4ピストンのセラミックコンポジットブレーキが装着される。
ダイムラーは開発中のプロトタイプの写真を公開。ボディには擬装が施されているが、ガルウイングドアなど新型の特徴が確認できる。ダイムラーは「ヘッドランプやボンネットの形状は、既存のメルセデス車にないデザインになる」と説明している。
SLS AMGのボディサイズは、全長4650×全幅1950×全高1250mm、ホイールベース2700mm。メルセデスベンツ『SL』(全長4565×全幅 1820×全高1315mm、ホイールベース2560mm)よりも、ひと回り大きなボディとなるが、全高は65mm低い。
新型SLS AMGは、9月のフランクフルトモーターショーで正式発表され、2010年春に市販される見込み。価格は約25万ドル(約2500万円)と予想されている。300SLのイメージを再現した新型SLS、メルセデスの新フラッグシップスポーツに期待が高まる。
ラベル: 2009年自動車ニュース